超個性派俳優・佐藤二朗さんが監督を務めたことでも話題の、「はるヲうるひと」が公開されています。
はるヲうるひとは佐藤さんが主宰する演劇ユニット「ちからわざ」が2009年に初演、2014年に再演した舞台作品で、今回佐藤さんが自らメガホンを取って映像化しました。
置屋が点在する島のある1軒の置屋を舞台に、そこで生きる男女3兄妹の生きざまと人間関係、そして遊女たちと島外からやってくる客との交流などを描いたヒューマンドラマです。
恐怖と暴力で置屋を支配する長男、周りにしいたげられる次男、床に伏せる長女、1人として平穏な人生を送っていない3兄妹を中心に、人間を深くえぐるような濃密な描き方をしています。
それだけに演じるキャストの顔触れが気になりますよね。
そこで今回は「「はるヲうるひと」キャストまとめ!監督「佐藤二朗」にも迫る!」と題して、キャストの役どころと俳優さんの経歴をお伝えし、監督を務めた佐藤二朗さんにも迫ります。
「はるヲうるひと」キャストまとめ
それでは早速はるヲうるひと出演のキャストについて、役どころとプロフィールをまとめていきます。
【山田孝之】かわいそうで情けない”心を消した次男”・真柴得太役
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まずはるヲうるひとキャストまとめの最初に登場するのは、主役である次男・得太役の山田孝之さんです。
山田さん演じる得太は置屋を仕切る兄からはしいたげられて子分のようにこき使われ、遊女からは下に見られてバカにされるような、情けなくも悲しい毎日を送る、心に深い闇を持つ主人公です。
山田さんは高校1年生だった1999年テレビドラマ「サイコメトラーEIJI2」で俳優デビューを果たし、4年後の2003年「WATER BOYS」で初主演されています。
山田さんといえばワイルドで武骨な役のイメージがあるかと思いますが、そのきっかけとなったのはヤンキー漫画原作の映画「クローズZERO」でした。
20代の俳優としてただ一人ブルーリボン賞の助演男優賞にノミネートされており、イメージだけではない確かな演技力を認められた作品ともなりました。
これが、後に山田さんの代表作となる、ワイルドさに冷酷な原作のキャラを再現した「闇金ウシジマくん」でのキャラに繋がっているんだと思いますね。
一方で「勇者ヨシヒコ」のような優しくて正義感のあるキャラや、「全裸監督」でのとことんまで突き抜ける演技など、THE俳優とも言えるキャラの演じ分けが高く評価されています。
山田さんはコロナ禍に夜の銀座で大はしゃぎしたり、知事が来県自粛を求めていた沖縄に旅行で訪れるなど、性格もやんちゃでワイルドな一面があるようですね。
それとは真逆の弱くて、闇深い今回の得太というキャラですが、山田さんは何度台本を読んでもその度に涙が止まらなかったらしく、その得太をどう演じているのか大いに注目したいですね。
・電車男
・クローズZERO
・イキガミ
・闇金ウシジマくん
・凶悪
・テラフォマーズ
・50回目のファーストキス
【仲里依紗】病で床に伏せる”女を売らない長女”・真柴いぶき役
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はるヲうるひとキャストまとめ2人目は、置屋の娘に生まれしかも容姿端麗、本来なら遊女になるのが必然ながら体を売らない長女・いぶきを演じる仲里依紗さんです。
長年持病を患っており調子が良い時以外は自室に伏せっており、主人公得太とは母親が同じ姉弟という関係です。
仲さんは少女漫画の主人公に似ている子を探すオーディションで特別賞を受賞したのがきっかけで芸能界入りしています。
その後、雑誌「CANDy」のモデルオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルとして活動していました。
女優として脚光を浴び始めたのは2010年。
アニメ版では主人公の声も担当した「時をかける少女」の主人公役と、「ゼブラーマン‐ゼブラーシティの逆襲-」でのヒロイン役で、日本アカデミー賞など数々の映画賞を受賞しています。
その後もその色気のある妖艶な容姿と、深みのある「憑依系」とも言われるキャラに入りきる演技力で、映画、ドラマに引っ張りだこの女優さんです。
プライベートでは時をかける少女で共演した俳優中尾明慶さんと2013年に結婚、ドラマやCMでも共演するなど仲睦まじいところを見せてくれています。
今回のはるヲうるひとでの、病弱でどこか憂いのあるキャラに仲さんがどう「憑依」しているのか、大いに注目しましょう。
・ちーちゃんは悠久の向こう
・純喫茶磯辺
・時をかける少女
・ゼブラーマン‐ゼブラーシティの逆襲-
・ハラがコレなんで
・土竜の唄
・羊と鋼の森
【佐藤二朗】全てを支配する男”粗暴な長男”・真柴哲雄
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はるヲうるひとキャストまとめ3人目は、置屋を恐怖と暴力によって支配し取り仕切る長男・哲雄を演じる佐藤二朗さんです。
何でもできるマルチプレイヤーらしく、バラエティ番組でも見せるあの独特のコミカルさを一切封印し、凶暴で邪悪で心底憎たらしい人間を表現する演技が、作品の強烈なスパイスになっています。
また、佐藤さんはこの作品の原作者であり、監督、脚本も担当しています。
その詳細はのちほど触れますので、ここでは佐藤さんの俳優としての経歴をお伝えします。
佐藤さんははるヲうるひとも上演された演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げした1996年から本格的に俳優活動を始めています。
その後主演舞台が演出家・堤幸彦さんの目に留まりドラマのワンシーンに出演、その演技が現事務所の社長にささり所属することになるという縁も、ここで生まれることになります。
その後は唯一無二のクセの強い演技で映像作品への出演が増え、現在は演技の仕事以外にもクイズ番組のMCなどでも活躍されていますね。
また、演出家であり、映画監督でもある福田雄一さんが佐藤さんを多く起用しており、「勇者ヨシヒコ」や「今日から俺は!!」「銀魂」などの人気作品に次々と出演され、着々と俳優としてステイタスを築いていますよね。
・ケータイ刑事 THE MOVIE
・memo(監督、脚本も担当)
・「マメシバ」シリーズ
・銀魂
・ザファブル
・かぐや様は告らせたい
・新解釈・三國志
【坂井真紀】体を張って仲間を守る”最古参の遊女”・桜井峯役
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ここからははるヲうるひとの舞台となる置家「かげろう」で働く、遊女たちを演じられている女優さんを紹介します。
まず1人目は、最古参で遊女たちの姉的存在でもある桜井峯役の坂井真紀さんです。
どちらかというと清純派のイメージが強い坂井さんが、どんな遊女を演じているのか注目ですよね。
坂井さんは1990年に「三井のリハウス」のCMに出演する4代目リハウスガールに選出されたのが、芸能界デビューのきっかけです。
その後1992年にドラマデビュー、歌手としても活躍され、その頃のイマドキ女子を等身大で演じられていたのが印象的でした。
また、坂井さんの知名度、人気を一気に高めたのは、番組開始から参加し6年以上もレギュラーとして出演されたコントバラエティ番組「ココリコミラクルタイプ」です。
その間にはクレヨンしんちゃんの映画にも本人役として登場するなどしており、活動の幅を広げるきっかけになったのは間違いありません。
現在は映画も毎年2~3本出演されており、柔和なイメージ通りの優しい母親役から、少しとがったお局OLなど幅広いキャラクターを演じられ、作品にスパイスを利かしてくれる女優さんです。
・ユーリ(映画初出演作)
・青春☆金属バット
・実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
・ノンコ36歳
・ゲゲゲの女房
・中学生丸山
・架空OL日記
【今藤洋子】いぶきを目の敵にする”勝気なムードメーカー”・柘植純子役
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遊女2人目は、勝気な性格でかげろうのムードメーカー的存在である、柘植純子役の今藤洋子(こんどうようこ)さんです。
今藤さんは舞台を中心に活動されている実力派女優さんで、舞台版のはるヲうるひとには2009年の初演も、2014年の再演にも参加している、オリジナルメンバーなんです。
また、俳優、MCの坂上忍さんと親交が深く、坂上さんの作・演出の舞台には毎回参加しているほどで、プライベートでも良く飲みに行く間柄だそうです。
そして、2014年ごろからはテレビドラマへの出演が急増しており、「昼顔」や「監察医 朝顔」などの人気ドラマに多数出演されています。
さらに、多彩な声色を活かしラジオCMにも多く出演されており、コカ・コーラや資生堂、NTTドコモなど、有名企業のCMに参加されています。
・22年目の告白ー私が殺人犯ですー
・嘘を愛する女
・宮本から君へ
・すばらしき世界
【笹野鈴々音】誰にでも優しい癒し女子”大人気遊女”・村松りり役
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はるヲうるひとの遊女3人目のキャストは、誰とでもフラットに付き合え、誰にでも優しいために多くの客が付いている、村松りり役の笹野鈴々音(ささのりりね)さんです。
笹野さんも舞台版に2度出演しているオリジナルメンバーで、今藤さん同様に舞台を中心に活躍されている女優さんです。
また、138cmという小柄さを活かし(?)、特殊な役ができることから映画への出演も多い笹野さん…
特に「トリハダ」では、長い赤髪に眉毛がない青白い顔、無表情からの不気味な笑顔など、恐怖キャラを見事に演じ切り、新しいホラースター誕生と話題となりました。
笹野さんは唯一無二のインパクトがある女優さんで、一度見たら忘れられない存在でもあるため、今後も作品に激辛スパイスを加える存在であり続けるはずです。
・遠くの空に消えた
・牙狼-GARO- 〜RED REQUIEM〜
・トリハダ ‐劇場版‐
・蠱毒 ミートボールマシン
【駒林怜】先輩に心配される”内気な新人遊女”・近藤さつみ役
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はるヲうるひとのキャストまとめ最後にご紹介するのは、この映画がほぼ職業としての演技が初めてという駒林怜(こまばやしれい)さんです。(写真一番左)
内気で周りから心配される新人遊女近藤さつみ役ですが、多数が参加したオーディションでこの役を勝ち取っており、佐藤監督に「さつみ役は彼女しかいない」と言わしめたそうです。
女優としての第一歩を踏み出した駒林さんの今後の活躍にも期待したいですね!
なお、駒林さんは「LINE NEWS VISION」で映画監督の杉岡知哉さんとタッグを組み、「ふつうな女の子」という動画をアップしていますので、下記にアクセスしてみてください。
はるヲうるひと監督は”鬼才”佐藤二朗!
ここからははるヲうるひとの原作者であり、映画化において監督、脚本も担当し、長男役として出演もした佐藤二朗さんに迫っていきましょう。
この人、ただの個性派俳優さんではありませんよ!
遅咲き俳優佐藤二朗!サラリーマンと演劇界を行ったり来たりの20代
佐藤さんは大学在学中に普通に就職活動をしていましたが、実は芝居をやりたいので土・日をその活動に当てたいと面接で素直に伝えた結果、何と25社不採用を食らう羽目に…
そして、やっとの思いで就職した会社も、入社式の雰囲気が合わないと感じその日の内に退職しています。
その後は劇団付属の俳優養成所に入るも1年後の入団試験に落ち別の劇団に、そこも1年で退団してしまいます。
さすがに俳優としての適正が無いと感じ小さな広告代理店に再就職、営業の才能を発揮しトップクラスの成績を残し、そこに落ち着くのかと思いきや…
やはり俳優への夢をあきらめきれず、養成所や劇団時代の仲間を集め佐藤さんの俳優人生のルーツでもある「ちからわざ」を1996年に立ち上げます。
その後さらに知人の誘いで別の劇団にも入団し、ここで広告代理店を退職、俳優として本格的な活動に入ります。
最初に1日でやめた会社は誰もが知っているような大企業ですし、営業の才能もあったということですので、サラリーマンを続けていたとしても成功していたのではないでしょうか。
しかし、それであったならば稀代のクセ強俳優・佐藤二朗は世に出ていないですし、はるヲうるひとは生まれなかったかもしれません。
あらためてこの経歴を確認すると、ぜひ「佐藤さん20代に紆余曲折してくれてありがとう!」と言いたいですね(笑)
「僕には書く欲求がある!」by佐藤二朗
佐藤二朗さんははるヲうるひとの原作者でもあり、映画では脚本も担当しています。
佐藤さんは以前にもテレビドラマ「ケータイ刑事」や監督も務めた映画「memo」で脚本を担当しており、クリエイターとしての活躍も顕著です。
言うまでもなく、役者は「演じる」のみに執心するのがよい。当然のことだ。しかし僕にはどうしても「演じる」欲求とは別腹に「書く」欲求がある。役者ゆえ「書く」欲求は捨てるべきだと考えた時期もあった。しかし「お前は書いていい人間だ」と背中を押してくれた人が何人かいた。
引用元:映画ナタリー
佐藤さんには舞台を作り上げる上で書く欲求があり、それを周りも後押ししているということですよね。
そして、このコメントの続きで、今回のはるヲうるひとの脚本をキャスト、スタッフがどう受け止めたのかが分かります。
「何度読んでも魂が震える」と主演を受けてくれた山田孝之、日頃はわりと辛口(笑)なのに「このホンは面白い」と真っ直ぐに僕の目を見て言った坂井真紀、「このホンをつまらなく撮ったら僕の責任」と言ったカメラマン神田創
引用元:映画ナタリー
いずれも日ごろからの佐藤さんとの関係性を感じさせるコメントですが、それが無くても惹き付けられる脚本であることはすでに鑑賞されたファンの方が証明してくれています。
映画「はるヲうるひと」
正直、山田孝之目当てで観に行ったけど
それを覆す脚本の完成度の高さ。
息が詰まるシーンの連続。
久しぶりに映画を観て鳥肌が立ちました。後悔しているのはポップコーンを買ったこと。
とても観ながら食べれなかった。映画館で観た事を誇れる映画‼︎#はるヲうるひと pic.twitter.com/4HFeh6TvGo
— 倫太郎@国産緑茶 (@Bus_Step) June 4, 2021
はるヲうるひと。公開初日おめでとうございます✨
めちゃくちゃ刺激的で、怖くて(途中ガチで目が潤んだ)、役者さんの演技力と脚本に震えました。#はるヲうるひと pic.twitter.com/bLG0wJEFvC— りーーーん (@ta_rin_0301) June 4, 2021
ぜひ皆さんにも、佐藤さんが本に込めた思いを感じていただきたいですね!
まとめ
今回は「「はるヲうるひと」キャストまとめ!監督「佐藤二朗」にも迫る!」と題して、お伝えしました。
話をまとめます。
- 山田孝之、仲里依紗、佐藤二朗が演じる3兄妹の、生きざまと心の闇に迫る!
- 清純派の坂井真紀の遊女姿はいかに?
- 舞台からのオリジナルキャスト今藤洋子、笹野鈴々音がストーリーに深みを増す!
- 新人駒林怜にも注目
- 鬼才佐藤二朗の世界を存分に堪能できる!
佐藤二朗さんの深く、重く、鮮烈な脚本を勢ぞろいした個性派俳優たちが渾身の演技で表現するはるヲうるひと。
ぜひ劇場でその息吹を感じ取ってください。
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